肩こり、腰痛、神経痛など、慢性的な痛みに悩まされている方にとって、「トリガーポイント注射」や「ブロック注射」という治療法は、医療機関で提案されることが多くなっています。しかし、実際に受けてみようとすると、
-
どっちが自分に合っているの?
-
効果の違いは?
-
注射って痛いんじゃないの?
-
両方一緒に使えるの?
…といった疑問が出てくるものです。この記事では、トリガーポイント注射とブロック注射の違いとそれぞれの効果・特徴・注意点、そして併用の可能性について、詳しくかつわかりやすく解説します。
トリガーポイント注射とブロック注射の違いとは?
トリガーポイント注射とは?
トリガーポイント注射は、筋肉の中にできた「トリガーポイント(押すと痛むしこり)」に対して、直接局所麻酔薬(主にリドカインなど)を注入することで、筋肉の緊張をほぐし、痛みを軽減する治療法です。筋肉により引き起こされる痛みに有効。
特徴:
-
即効性がある
-
局所的な筋肉の痛みに有効
-
副作用が少ない
-
比較的手軽に行える
よく使われる症状:
-
頑固な肩こり
-
首こり
-
筋筋膜性疼痛症候群(MPS)
-
ストレス性の頭痛(緊張型頭痛)
-
長時間のデスクワークや姿勢不良による筋肉のこり
治療の流れ:
-
痛みの部位を触診で確認
-
筋肉の奥にあるトリガーポイントに注射
-
数分で筋肉がゆるみ、痛みが軽減することも多い
副作用:
-
注射部位の軽い痛みや内出血
-
一時的なめまいや倦怠感(まれ)
ブロック注射とは?
ブロック注射は、神経や神経の周囲に麻酔薬やステロイドを注入することで、痛みの信号そのものを遮断する治療法です。痛みの「通り道」である神経に直接作用するため、深刻な神経痛に有効です。
特徴:
-
神経性の痛みに強い効果
-
即効性と持続性を併せ持つ
-
一部では高い専門技術が必要(特に硬膜外ブロックなど)
-
超音波やX線透視下での施術も多い
よく使われる疾患:
-
坐骨神経痛
-
腰椎椎間板ヘルニア
-
脊柱管狭窄症
-
頸椎症性神経根症
-
帯状疱疹後神経痛
種類:
-
硬膜外ブロック
-
神経根ブロック
-
星状神経節ブロック
-
仙骨ブロック など
副作用:
-
血圧低下やめまい(特に硬膜外)
-
一時的な神経刺激によるしびれ
-
感染リスク(非常にまれ)
【比較表】トリガーポイント注射とブロック注射の違い
項目 | トリガーポイント注射 | ブロック注射 |
---|---|---|
対象 | 筋肉のトリガーポイント | 神経やその周囲の組織 |
効果発現の速さ | 即効性(数分〜) | 数時間〜翌日から効果を感じることが多い |
効果の持続 | 数日〜1週間程度 | 数日〜数週間、時に1か月以上 |
主な症状・疾患 | 筋肉のこり、緊張型頭痛、肩こり | 坐骨神経痛、ヘルニア、神経根症、帯状疱疹後神経痛 |
使用薬剤 | 局所麻酔薬(リドカインなど) | 局所麻酔薬+ステロイド等 |
技術的難易度 | 低〜中(整形外科などでも対応可能) | 中〜高 |
副作用 | 少ない(内出血や鈍痛) | 血圧変動・神経症状などのリスクあり |
保険適用 | 多くの場合で適用可能 | 多くの場合で適用可能 |
両者の併用 | 併用可能。相互補完的に用いられることも多い | 複雑な症例ではトリガーポイント注射と併用される |
両者の併用治療は可能?【症状に応じて最も効果的な選択】
✅ 結論:併用は可能で、むしろ推奨されることも多い!
併用される主なケース:
-
神経痛+筋肉のこりが同時に存在する場合
-
痛みの範囲が広く、単独治療では効果が不十分なとき
-
頸椎症による神経痛+肩周囲の筋緊張など
注射の痛みと対処法
トリガーポイント注射の痛み
-
針の刺入時に「チクッ」とした痛みがありますが、数秒〜十数秒程度。
-
深部に刺す際に圧迫感があることも。
ブロック注射の痛み
-
注射位置によってはやや強い痛みを伴うことがあります。
-
超音波ガイドなどで的確な位置に打つことで、痛みやリスクを軽減可能。
翌日に痛いのはなぜ?
-
トリガーポイント注射:緩んだ筋肉の再調整に伴う一時的な鈍痛
-
ブロック注射:薬剤の影響や注射部位の炎症反応による軽い痛み
施術を受ける前に知っておくべきポイント
クリニックの選び方
-
ペインクリニック、整形外科での対応が可能
施術前後の注意点
-
当日はシャワー・入浴を避けることが推奨される場合あり
-
激しい運動や長距離移動は控える
-
異常があればすぐに医師へ相談
医師との相談ポイント
-
痛みの部位、継続期間、過去の治療歴を正確に伝える
-
複数の選択肢がある場合は、「どちらを優先的に使うか」を相談
まとめ:自分の症状に合った注射治療を選ぼう
「トリガーポイント注射」は筋肉のこりに、「ブロック注射」は神経由来の痛みに対して、それぞれ効果を発揮する注射療法です。
そして、この2つの注射は併用することが可能であり、複雑な痛みや慢性疾患に対しては、併用治療によって大きな効果を上げることもあります。
痛みを我慢するのではなく、まずは専門医に相談し、自分に最も合った治療法を見つけてください。