夏本番を迎える前の5月でも、熱中症は決して油断できない危険な症状です。この記事では、特に5月から始まる熱中症のリスクとその対策について、2024年のデータをもとに解説します。
【5月の熱中症に見られる特徴】
5月は気温が急上昇する日があり、体が暑さに慣れていない状態(暑熱順化が未熟)であるため、熱中症のリスクが高まります。また、服装がまだ春物であったり、水分補給の意識が低いことも影響し、重症化しやすい傾向にあります。
令和6年(2024年)5月の熱中症による救急搬送者数は2,799人で、年齢別では高齢者が最も多く、発生場所では住居が最多でした。
【2024年の熱中症状況】
2024年の夏は記録的な暑さで、5月以降も熱中症のリスクは急激に高まりました。5月から9月にかけての全国の熱中症による救急搬送者数は97,578人で、過去最多となりました。前年(2023年)と比べて約6.7%増です。
年度 | 搬送者数 | 増減 |
---|---|---|
2024年 | 97,578人 | +6.7% |
2023年 | 91,467人 | – |
【年齢別の傾向】
年齢区分 | 搬送者数 | 割合 |
高齢者(65歳以上) | 55,966人 | 57.4% |
成人(18~64歳) | 32,222人 | 33.0% |
少年(7~17歳) | 8,787人 | 9.0% |
乳幼児(0~6歳) | 601人 | 0.6% |
高齢者は特に注意が必要で、体温調節機能の低下が重症化を招く要因となっています。
【発生場所別の内訳】
発生場所 | 搬送者数 | 割合 |
住居 | 36,541人 | 39.9% |
道路 | 15,186人 | 16.6% |
公衆(屋外) | 11,742人 | 12.8% |
仕事場(工事現場等) | 9,324人 | 10.2% |
自宅での発症が最も多く、在宅中の熱中症対策が重要です。
【熱中症予防のポイント】
- こまめな水分・塩分補給:のどが渇く前に水分を摂るよう心がけましょう。
- 室温の管理:エアコンや扇風機を活用して、室内温度を28℃以下に保つようにしましょう。
- 暑熱順化の実施:軽い運動や入浴などで汗をかき、暑さに慣れる工夫を。
- 適切な服装:通気性・吸湿性の高い衣類を選びましょう。
【熱中症が疑われるときの対応】
もし熱中症の症状(めまい、立ちくらみ、大量の発汗、頭痛、吐き気、筋肉のけいれん、意識障害など)が現れた場合は、以下の対応を迅速に行ってください:
- 涼しい場所へ移動:風通しのよい日陰やクーラーの効いた室内に移動させます。
- 衣類をゆるめて体を冷やす:首、脇の下、足の付け根など太い血管が通る部分を冷やします。
- 水分・塩分の補給:意識があり、飲める状態であれば冷たい水やスポーツドリンクなどで水分補給を行います。
- 救急要請:呼びかけに反応しない、意識がはっきりしない、高体温が続く場合はすぐに119番通報を行い、医療機関での対応が必要です。
5月は一見過ごしやすい季節に見えても、熱中症のリスクがひそんでいます。早めの対策を講じることで、夏本番に向けた備えにもなります。ぜひ今日から実践してみてください。