麻疹ってどんな病気?大人も子どもも知っておきたい基本知識

麻疹とは?

麻疹の概要と原因ウイルス

麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の感染症で、主に乳幼児や子どもに多く見られますが、大人も感染する可能性があります。麻疹ウイルスは非常に感染力が強く、世界中で流行が見られる疾患です。

感染力の強さと感染経路について

麻疹ウイルスは空気感染を主な経路とし、咳やくしゃみによって空気中に放出されたウイルスを吸い込むことで感染します。感染力が極めて強いため、同じ空間にいるだけでも感染するリスクがあります。

麻疹の主な症状とは

初期症状(風邪に似た症状)

感染から10日前後で発症し、初期症状は発熱・咳・鼻水・結膜炎など、風邪と似た症状が見られます。この時点では麻疹と特定するのが難しい場合もあります。

麻疹特有の発疹とカタル期・発疹期の違い

初期症状の後、口の中に「コプリック斑」と呼ばれる白い斑点が現れ、次いで全身に赤い発疹が広がります。これが「発疹期」で、カタル期(初期症状期)と区別されます。発疹は通常3〜5日で薄くなり、皮膚がめくれるように治っていきます。

合併症と重症化のリスク

麻疹は肺炎や中耳炎、脳炎といった合併症を引き起こすことがあります。特に乳児や免疫力が低下している人にとっては、重症化のリスクが高く、命に関わる場合もあります。

麻疹の感染経路と広がり方

空気感染・飛沫感染・接触感染の違い

麻疹は主に空気感染しますが、飛沫感染(咳やくしゃみによる)や接触感染(ウイルスが付着した手や物を介して)も感染経路となり得ます。空気感染は特に感染力が強く、短時間の接触でも感染が成立することが特徴です。

麻疹の潜伏期間と感染可能な時期

潜伏期間はおよそ10〜12日で、その間にもウイルスの排出が始まっているため、症状が出る前から周囲に感染を広げてしまうことがあります。発疹が出た後、約4日間は他者への感染力があるとされています。

麻疹の予防方法

麻疹ワクチン(MRワクチン)の重要性

麻疹の最も効果的な予防法は、ワクチン接種です。日本では麻疹風疹混合(MR)ワクチンが使用されており、1回の接種で約95%、2回の接種でほぼ100%の予防効果が期待できます。

予防接種のタイミングと対象年齢

日本の定期接種では、生後12か月〜24か月未満に第1期、5歳〜7歳未満(小学校就学前)に第2期の接種が推奨されています。適切な時期に接種することで、高い予防効果が得られます。

大人が予防接種を受けるべき理由

1977年以前に生まれた人は、ワクチン未接種または1回接種の可能性が高いため、抗体検査や追加接種が推奨されることがあります。特に医療従事者や海外渡航予定のある人は要注意です。

麻疹にかかったらどうする?

受診の目安と医療機関への連絡

発熱と発疹が見られた場合は麻疹の可能性があります。直接医療機関に行く前に、必ず電話で症状を伝え、感染防止の対応を確認しましょう。

治療法と自宅での対処法

麻疹に特効薬はなく、対症療法が中心となります。発熱や咳、脱水症状への対応を行い、安静に過ごすことが大切です。十分な休養と水分補給を心がけましょう。

登校・出勤停止の期間と対応

発疹出現後5日を経過するまでは、学校保健安全法により出席停止とされます。職場においても、感染拡大を防ぐため出勤を控える必要があります。

麻疹の流行状況と注意点

国内外の麻疹の流行状況(2024年~2025年)

2024年から2025年にかけて、アジアやヨーロッパなど複数の国で麻疹の流行が報告されています。日本国内でも散発的な発生が見られており、注意が必要です。
2025年3月に急増しており、特に輸入例を起点とした流行の拡大が懸念されました。2025年4月は速報値ベースで13〜19件の報告があり、引き続き注意が必要です。

海外渡航時の麻疹対策

渡航前には予防接種歴の確認を行い、必要に応じて追加接種を受けましょう。特に流行国への渡航では、事前に医師に相談することをおすすめします。

まとめ|麻疹は正しい知識と対策で予防できる

麻疹は非常に感染力が強い一方で、ワクチンによって予防可能な病気です。子どもだけでなく大人も対象となる感染症であるため、正しい知識を身につけ、予防接種を含めた適切な対策を講じることが大切です。家族や周囲の人々を守るためにも、麻疹についての理解を深めましょう。