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鼠径ヘルニアになりやすい人の特徴5選
鼠径(そけい)ヘルニアは「脱腸」とも呼ばれ、下腹部の筋膜や筋肉のすき間(鼠径管など)から腸や脂肪が押し出され、鼠径部がふくらむ病気です。ここでは、一般的に発症しやすい人の特徴を5つに整理し、予防のヒントも紹介します。
1.男性・中高年

鼠径部は男性の方が構造的に弱く、加齢に伴う筋力・結合組織の低下も重なって発症しやすくなります。特に50代以降で増加が目立ちます。
- 男性は鼠径管を精索が通るため弱点になりやすい
- 加齢で腹壁(腹横筋・内腹斜筋など)の支持力が低下
- 立ち仕事の年数が長い人はリスクが上がりやすい
2.腹圧が上がりやすい生活習慣や持病がある
お腹に強い力(腹圧)が繰り返しかかると、腹壁の弱い部分から中身が押し出されやすくなります。
- 慢性的な咳(喫煙、喘息、慢性気管支炎など)

- 便秘や前立腺肥大による「いきみ」
- 重い物を頻繁に持ち上げる作業・筋トレのフォーム不良

- 長時間の立ち仕事

3.体格や体重変動の影響を受けやすい

肥満は腹圧を高め、急激な体重減少は支持組織のボリューム低下につながります。どちらも発症リスクに影響し得ます。
- 内臓脂肪・腹囲増大による腹圧上昇
- 短期間のダイエットで支持組織が痩せ、すき間が生じやすい
- 妊娠・出産後の体重・腹壁の変化(女性でも起こり得ます)
4.家族歴や既往歴がある
同じ家系で起こりやすい傾向が報告されており、片側にできた人は反対側にも生じることがあります。また、下腹部の手術歴があると局所の弱さが残る場合があります。
- 親・兄弟に鼠径ヘルニアの既往がある
- 過去に片側の鼠径ヘルニアを経験している
- 下腹部の手術歴(創部周囲の組織脆弱化)
5.体幹(コア)筋の弱さ・喫煙・運動不足
腹横筋や骨盤底筋など「コア」が弱いと腹圧コントロールが乱れ、負担が局所に集中しやすくなります。喫煙は結合組織の質を下げ、修復を遅らせることも知られています。
- 体幹筋の機能低下(長時間座位、運動不足)
- 喫煙習慣によるコラーゲン代謝への悪影響
- 急な高強度トレーニングでフォームが崩れる
セルフチェックのコツ
立位や咳・いきみで鼠径部がふくらみ、横になると引っ込むのは典型的です。ただし、自己判断には限界があります。似た症状を示す別病変(大腿ヘルニア、精巣水腫、リンパ節腫大など)もあるため、医療機関での診断が安心です。
受診を急ぐべきサイン

- ふくらみが硬く戻らない、急に強い痛みが出た
- 吐き気・嘔吐、発熱、血便などを伴う
- 皮膚が赤く変色している
これらは腸が締め付けられる「嵌頓(かんとん)」の可能性があり、至急受診が必要です。
今日からできる予防・再発予防のヒント
- 便秘対策(食物繊維・水分・適度な運動)で「いきみ」を減らす
- 正しいフォームでの筋トレ&重量の段階的な設定
- 体幹トレーニング(ドローイン、プランク、ブレーシング)を習慣化
- 咳が続く場合は原因治療(禁煙、呼吸器科受診)
- 適正体重の維持と、急激な増減を避ける
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状に心当たりがある方、手術歴がある方、持病がある方は必ず医療機関にご相談ください。

