鼠径ヘルニアの手術方法|前方到達法 vs. 腹腔鏡手術の違いを解説

こんにちは、消化器外科医の太田勝也 です。
今回は、鼠径(そけい)ヘルニアの手術方法について詳しく解説 します。

鼠径ヘルニアは 自然に治ることはありません。
そのため、手術が唯一の治療法 となります。

現在、鼠径ヘルニアの手術には 大きく分けて2つの方法 があります。
前方到達法(鼠径部を切開する手術)
腹腔鏡下手術(カメラを使ってお腹の中から修復する手術)

どちらの方法もヘルニアを修復する優れた手術ですが、それぞれメリットとデメリットがある ため、患者さん自身が納得して選択することが大切です。


🔹 鼠径ヘルニアとは?

まず、鼠径ヘルニアについて簡単に説明します。

ヘルニアとは?
体の 筋肉や組織の弱い部分から、内臓が飛び出してしまう状態 のことを指します。

鼠径ヘルニアとは?
下腹部の 足の付け根(鼠径部)に発生するヘルニア で、小腸や大腸が飛び出してしまうため、「脱腸」 とも呼ばれます。

原因は?
多くは 生まれつきのもの ですが、加齢とともに筋肉が弱くなることも原因 となります。

症状は?
鼠径部の膨らみ(特に立ったときに目立つ)
押すと引っ込むが、時間が経つとまた出てくる
進行すると押しても戻らなくなる(要手術!)


🔹 鼠径ヘルニアの手術方法

鼠径ヘルニアの手術は、以下の2つの方法があります。

1️⃣ 前方到達法(鼠径部切開法)

鼠径部を5cmほど切開し、開腹して修復する方法 です。
✅ 直接、ヘルニアが出ている部分にアプローチします。

📌 メリット
手術時間が短い(1時間程度)
全身麻酔ではなく、局所麻酔や腰椎麻酔でも可能
一部の患者さん(心臓や肺の病気を持つ人)でも受けやすい

📌 デメリット
傷が大きく、術後の痛みが強い
片側のみの手術が基本(両側のヘルニアは別々に手術が必要)
切開部の感染リスクがやや高い


2️⃣ 腹腔鏡下手術(カメラを使った手術)

小さな傷(1cm程度)からカメラを挿入し、お腹の中からヘルニアを修復する方法 です。
✅ 体の内側から メッシュ(ポリプロピレン製) を当てて補強します。

📌 メリット
傷が小さく、術後の痛みが少ない
回復が早く、日常生活に早く復帰できる
両側の鼠径ヘルニアを一度の手術で修復できる
感染リスクが低い

📌 デメリット
全身麻酔が必要
手術時間が少し長い(約2時間)
高度な技術が必要で、経験のある医師が担当する必要がある
過去に複数回の開腹手術を受けた人には適さないことがある


🔹 手術後の違い(回復のしやすさ)

鼠径ヘルニア手術後の回復には、手術方法の違いが影響します。

比較項目 前方到達法 腹腔鏡手術
傷の大きさ 約5cmの切開 1cm程度の小さな傷3か所
術後の痛み 強め 比較的少ない
回復の早さ やや遅い 早い(デスクワークなら翌日復帰可能)
感染リスク やや高い 低い
手術時間 約1時間 約2時間
再発率 約0.5% 約0.5%
全身麻酔 不要(場合による) 必要
両側ヘルニア手術 できない(片側ずつ手術) 可能(1回の手術で両側対応)

🔹 どちらの手術方法を選ぶべきか?

患者さんの 年齢・健康状態・ライフスタイル によって選択肢が異なります。

全身麻酔に問題がない人、仕事や日常生活に早く復帰したい人腹腔鏡手術が適している
心臓や肺の病気があり、全身麻酔が難しい人前方到達法を検討
すでに何度も開腹手術を受けたことがある人前方到達法が適していることが多い

💡 どちらの方法も、鼠径ヘルニアを治すという目的は同じです。
ご自身の 生活スタイルや健康状態 に合わせて、最適な手術方法を選択しましょう。


🔹 まとめ

鼠径ヘルニアは自然に治らないため、手術が唯一の治療法!
手術方法は「前方到達法」と「腹腔鏡手術」の2つがある!
前方到達法は局所麻酔が可能だが、傷が大きく回復が遅め!
腹腔鏡手術は傷が小さく回復が早いが、全身麻酔が必要!
どちらの方法も再発率は約0.5%と優れた手術成績!
患者さんの健康状態やライフスタイルに応じて、最適な手術を選択!


🔹 最後に

鼠径ヘルニアは、初期の段階では痛みがなくても、放置すると悪化するリスクがあります。
早めに医療機関を受診し、ご自身に合った治療法を選択することが大切です。

「最近、足の付け根に膨らみがある…」
「ヘルニアの手術を考えているけれど、どの方法がいいかわからない…」

こんな悩みをお持ちの方は、ぜひ医療機関で相談してみてください! 😊