肛門の病気について知ろう:痔・腫瘍の症状と治療法

こんにちは、外科医の太田勝也です。

お尻の痛み、出血、膿(うみ)が出る、違和感がある、出っぱりがあるといった症状で悩んでいませんか?
もしかすると、それは痔や腫瘍などの肛門の病気かもしれません。

今回は、肛門の病気について詳しく解説し、症状ごとにどのような病気が考えられるのか、また適切な治療法についてお話しします。


1. 肛門の病気の症状と原因

代表的な症状

肛門の病気には、主に以下のような症状があります。

痛み
出血(鮮血・暗赤色の血)
膿(うみ)が出る
違和感や出っぱりがある
便が出にくい

考えられる病気

上記の症状がある場合、以下のような病気が考えられます。

  • 痔(3種類)

    1. 切れ痔(裂肛):肛門の皮膚が切れて痛みが強い
    2. いぼ痔(痔核):肛門のクッション部分に血が溜まり、腫れる
    3. 穴痔(痔ろう):細菌感染により膿が溜まり、トンネル状の穴ができる
  • 腫瘍

    • 良性腫瘍(ポリープ・腺腫):早期発見で切除すれば完治する
    • 悪性腫瘍(大腸がん・直腸がん):進行すると転移のリスクが高まる

2. 肛門の構造と病気の関係

肛門の仕組み

肛門は、便をためて排泄するための臓器であり、以下のような構造を持っています。

🔹 肛門括約筋(内肛門括約筋・外肛門括約筋)

  • 内肛門括約筋(自律神経による無意識の働き)
  • 外肛門括約筋(意識的にコントロール可能)

🔹 肛門クッション(静脈の集まり)

  • 便やガスの漏れを防ぐ役割
  • 負荷がかかると痔核(いぼ痔)に

このように、肛門は筋肉と静脈による複雑な仕組みで成り立っています。
しかし、このバランスが崩れると、痔や腫瘍などの病気が発生しやすくなります。


3. 代表的な肛門の病気と治療法

① 切れ痔(裂肛)

💡 原因:

  • 便秘による硬い便の排出
  • 下痢による肛門の過剰刺激

🔹 症状:

  • 排便時の強い痛み
  • 出血(鮮血)
  • 肛門の皮膚が切れる

🔹 治療法:

  • 軟膏や座薬で炎症を抑える
  • 生活習慣の改善(食物繊維・水分摂取・運動)
  • 重症例は手術(肛門括約筋を一部切開)

② いぼ痔(痔核)

💡 原因:

  • 長時間の座位や立ち仕事
  • 肥満・妊娠
  • 便秘・下痢の繰り返し

🔹 症状:

  • 内痔核(直腸内):出血はあるが痛みは少ない
  • 外痔核(肛門周囲):腫れと強い痛み

🔹 治療法:

  • 軟膏・座薬の使用
  • ゴム輪結紮術(軽症~中等度)
  • 手術(硬化療法・切除術)(重症例)

③ 穴痔(痔ろう)

💡 原因:

  • 直腸内の細菌感染
  • 肛門腺の炎症が悪化

🔹 症状:

  • 膿が出る(膿瘍形成)
  • 痛みと発熱を伴うことがある

🔹 治療法:

  • 抗生剤の投与(初期)
  • **手術(痔ろう切除術)**が必要

④ 腫瘍(ポリープ・がん)

💡 原因:

  • 遺伝的要因
  • 食生活(高脂肪・低食物繊維)
  • 喫煙・飲酒

🔹 症状:

  • 排便時の出血・違和感
  • 便が細くなる
  • 進行すると腸閉塞のリスク

🔹 治療法:

  • ポリープ切除(内視鏡手術)
  • がんの場合は外科手術+抗がん剤・放射線治療

4. 肛門の病気を予防するには?

肛門の病気は生活習慣と深い関係があります。
日常生活で意識することで、予防・再発防止につながります。

✅ 予防のポイント

食生活の改善(食物繊維・水分をしっかり摂取)
適度な運動(座りっぱなしを避ける)
排便習慣を整える(無理な力みを避ける)
適切な肛門ケア(清潔に保つ・刺激を避ける)

特に便秘や下痢を繰り返している方は要注意です!
症状が気になる方は、早めに専門医に相談しましょう。


5. まとめ

今回は、肛門の病気(痔・腫瘍)について詳しく解説しました。
「痔くらい…」と思わず、早めの診察・治療が重要です。

切れ痔(裂肛) → 皮膚の傷による強い痛み
いぼ痔(痔核) → 出血が多いが痛みは少ない(内痔核)、腫れと痛み(外痔核)
穴痔(痔ろう) → 膿が出る・感染が進行すると手術が必要
腫瘍(ポリープ・がん) → 早期発見で治療可能

お尻の違和感や不安を感じたら、ぜひ専門医に相談してください!
皆さんが健康な日々を過ごせることを願っています。

太田勝也でした。